格付けと債務者区分
信用格付け=信用判定
格付けとは、銀行用語において「信用格付け=信用判定」を意味します。(以下信用判定と記載)
銀行が信用判定する理由としては、
- ①貸出条件を規定するため
- ②銀行の引当処理を行うため
などが主な理由です。
信用判定は、銀行毎のルールにより違いはありますが、毎年「決算後6か月以内」に行っていることが多いです。もちろん、新規取引先であれば、その時点で行います。
信用判定の方法
信用判定は次の図式で表現できます。
【信用判定=財務判定+非財務判定】
では、財務判定と非財務判定について見ていきましょう。
財務判定
決算書に基づいて財務分析を行い、スコアリング方針をとることが一般的です。
例えば以下のようになります。
- ・自己資本比率…〇〇点
- ・流動比率………〇〇点
- ・経常収支比率…〇〇点 等
非財務判定
財務判定以外の要素をスコアリングし、信用判定の要素としています。
例えば以下のようになります。
- ・業界……………〇〇点
- ・業界地位………〇〇点
- ・後継者の有無…〇〇点 等
財務判定と非財務判定の配点は、財務判定のスコアリング配分が大きいことが一般的です。
これらの数値化された点数を企業属性「信用判定A先、B先、C先、、、等」に区分して運用しています。(信用格付けの前提として、債務者区分を規定し、その上で企業属性に展開しています)
信用判定区分により、
- ①貸出総枠の決定
- ②信用貸出区分の決定
- ③金利条件の設定
- ④融資の可否
等に反映されますので、銀行取引においては、極めて重要な要素となっています。
債務者区分とは
債務者区分とは、借入を行っている(貸出する)企業の属性を区分する重要な要素です。
以前「金融庁の金融検査マニュアル(別冊)」において各債務者区分を規定していたものの、現在は、各銀行毎の運用に変更されている可能性もありますが、基本的な考え方に変更はないものと思われます。
債務者区分
- (あ)正常先
- (い)要注意先
- (う)破綻懸念先
- (え)実質破綻先
- (お)破綻先
大まかな債務者区分については、「(う)破綻懸念先」「(え)実質破綻先」「(お)破綻先」を区分したのち、「(い)要注意先」でない債務者区分を「(あ)正常先」と区分します。
特に「要注意先区分」に該当するかどうかについては「要注意先以下基準」が規定されています。
要注意先以下基準…
(い)要注意先に該当するかの判断基準
- ・債務超過先
- ・赤字先(銀行毎に営業赤字、経常赤字、その期間等)
- ・貸出条件緩和債権先
上記に該当する場合は、「実態を総合的に勘案した上で」要注意先以下基準かどうかを検討することになります。
一般融資を受ける際については、「正常先」か「要注意先」に限られてきます。
融資の可否、貸出条件(金利・担保・保証)については、正常先>要注意先となっています。
また、正常先でも、格付け(信用判定)の高い先について、有利な形となっています。
※詳細な債務者区分については、当社発行「金融機関取引マニュアル」で詳しく解説しています。お気軽にお問い合わせください。